5,000円以内|安くておいしいアイラモルトのおすすめウイスキーを紹介
バーテンダー/ブロガーのいのかず(@InoKazuBlog)です。いつもご覧いただきありがとうございます。
アイラモルトの独特なスモーキーさに魅了されつつも、近年の価格高騰により、なかなか購入に踏み切れないと感じている人も多いことでしょう。
しかし、ただ安ければ良いわけではなく、おいしさも求めたいところ。
そこで今回の記事では、安くておいしいアイラモルトのおすすめウイスキーを、アイラモルトの基礎知識や選び方を踏まえてご紹介していきます。
買うウイスキーを失敗して無駄な出費をしたくない人は、ぜひ最後までご覧ください。
ご紹介する銘柄は、3,000円台~5,000円以内でご紹介します。3,000円以下はそもそも存在しません。(ネット価格)
そもそもアイラモルトはどんなウイスキー?
アイラモルトは、スコットランドの西部に位置する小さな島「アイラ島」で造られるウイスキーのことです。
基本的に、他地域で造られる原酒も使用するブレンデッドではなく、アイラ島で造られるシングルモルトを指しますが、アイラモルト同士をブレンドしたブレンデッドモルトを存在します。
アイラモルトのほとんどに当てはまる特徴が、独特の力強いスモーキーな風味です。
世界中に熱狂的な愛好家がいるウイスキーで、一部ではアイラウイスキーとも呼ばれています。
独特のスモーキーさの正体とは
アイラモルトの独特なスモーキーさは、ピートによって生まれます。
ピートとは、ヒースという野草や水生植物が堆積し、長い年月をかけて炭化した泥炭(炭化がそこまで進んでいない石炭)のことです。
ウイスキー製造における製麦工程(外部サイト:サントリー)で、麦芽の成長を止めるために、ピートを燃やした煙を使って麦芽を乾燥させます。
このときに麦芽に付く「ピート香」が、アイラモルト特有のスモーキーさの正体です。
他の地域のスコッチや他の国のウイスキーでもピートは使われますが、アイラモルト以上に力強いスモーキーさを感じる銘柄はなかなかありません!
好き嫌いがハッキリと分かれる
アイラモルトのほとんどがクセの強い銘柄です。
力強いスモーキーさ、潮気、ヨード香など、その強烈な個性は万人受けするものではありません。
しかしその味わいに一度魅了されると、他のウイスキーでは感じ得ない風味が忘れられなくなります。
個性がハッキリしている分、好きな人はとことんハマりますし、苦手な人はまったく合いません。
初心者がアイラモルトを飲むときは、刺激が強すぎることがあるため、注意が必要です。
まずはアイラモルトではなく、低価格帯で手に入るスモーキーなブレンデッドから飲み始めてみましょう。「ホワイトホース」あたりがおすすめです。
アイラモルトを選ぶときのポイントを紹介
アイラモルトを選ぶ際には、ただ価格で決めるのではなく、その銘柄が持つ特性を知ることが大切です。
どのような基準で選べばいいのか、ポイントをご紹介します。
蒸溜所ごとの個性で選ぶ
アイラ島には、現在9つの蒸溜所が存在します。
蒸溜所名 | ボウモア蒸溜所 | カリラ蒸溜所 | ラガヴーリン蒸溜所 | ラフロイグ蒸溜所 | キルホーマン蒸溜所 | アードベッグ蒸溜所 | ブナハーブン蒸溜所 | ブルックラディ蒸溜所 | アードナッホー蒸溜所 |
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代表銘柄 | ボウモア 12年 | カリラ 12年 | ラガヴーリン 16年 | ラフロイグ 10年 | キルホーマン マキヤーベイ | アードベッグ 10年 | ブナハーブン 12年 | ブルックラディ ザ・クラシック・ラディ | 2018年に設立されたばかり。ウイスキー販売はまだない。 |
特徴 | ピート香は中程度。 上品な甘さもある。 アイラ入門におすすめ。 | ピート香は中程度。 爽やかでフルーティー。 風味のバランスが良い。 | ピート香は中程度。 リッチで深みのある風味。 重厚で素晴らしい出来。 | ピート香は強烈。 オイリーな口当たり。 強いヨード香もある。 | ピート香は強烈。 爽やかでフレッシュな風味。 若くてパワフル。 | ピート香は強烈。 フレッシュなヨード香。 モルトの甘さもある。 | ピート不使用。 潮気の風味と深い甘さ。 ピーティな銘柄もある。 | こちらもノンピート。 フルーティーで飲みやすい。 最強にピーティな銘柄もある。 |
それぞれの蒸溜所の個性は、基本的には各代表銘柄が表しています。(ブナハーブンとブルックラディはタイプがまったく異なる銘柄をリリースしているため、また少し別枠になりますが。)
もちろん同じ蒸溜所でも銘柄が変われば特徴も変わりますが、大まかには個性が一貫しています。
まずはざっくりとでも各蒸溜所の個性を知り、どのウイスキーなら飲んでみたいのか目星を付けましょう。
上記表でご紹介した代表銘柄は、5,000円以上する銘柄ばかりです!アイラモルトって高いんですよね。
スモーキーさの度合いで選ぶ
アイラモルトの象徴とも言えるスモーキーさですが、その度合いは蒸溜所や銘柄によって異なります。
いきなり強めに行くのが怖い人は、まずは代表銘柄からスタートし、比較的ピートが弱めの「ボウモア 12年」から試してみましょう。
大丈夫なら次はカリラ、また大丈夫ならラフロイグと、段々とピートが強めのウイスキーにシフトしていったほうが安心です。
ちなみに先ほどの表にて、ボウモアからアードベッグにかけては、紹介した順にスモーキーさが強くなっていきます。
僕の場合、カリラ・ラガヴーリンくらいがちょうど良い塩梅ですね。
もちろん、ノンピートでほとんどクセのない「ブナハーブン 12年」や「ブルックラディ ザ・クラシック・ラディ」も本当に良い銘柄で、アイラモルトはスモーキーさだけが売りなわけじゃないことが感じられます。
熟成年数で選ぶ
芳醇さや口当たりの良さ、余韻の長さに大きく影響するのが、熟成年数です。
基本的に短熟のウイスキーはパワフルでフレッシュな風味、長熟のウイスキーは甘くて優しいリッチな風味が特徴。
今回のテーマは「安くておいしいアイラモルト」ですので、5,000以内で探す場合、熟成年数でこだわらずに若くてフレッシュな味わいを楽しむという選択肢もあります。
短熟のウイスキーは、水割りやソーダ割りとの相性が良い銘柄が多いので、普段の飲み方も考慮しましょう。
5,000円以内で買えるおすすめのアイラモルト
スコットランド内の他の生産地のウイスキーと比べ、アイラモルトは価格が高い傾向にあります。
今回はそんな中から5,000円以内で買えるもののみを厳選。
マイナーな銘柄もありますが、気になったらぜひ一度飲んでみてください。
フィンラガン オリジナル ピーティー
内容量 | 700ml |
度数 | 40% |
おすすめの飲み方 | ストレート 水割り ソーダ割り |
「フィンラガン オリジナル ピーティー」は蒸溜所の名前を伏せて販売されているのですが、中身は「カリラ」ではないかと言われているウイスキーです。
しっかりしたスモーキーさ、バニラの甘み、シトラスのような爽やかさ、潮気、スパイシーさが楽しめます。
アイラモルトの中ではもっとも低価格なので、風味の複雑さにはかけますが、コスパはかなり高めです。
酒質が軽めなため、味わいはパワフルでも飲みやすさがありました。
アイリーク(イーラッハ)
内容量 | 700ml |
度数 | 40% |
おすすめの飲み方 | ロック ソーダ割り |
「アイリーク」も同じく蒸溜所名を明かさずに販売されているウイスキーですが、中身は「ラガヴーリン」や「ラフロイグ」ではないかと言われています。
フレッシュでパワフルなスモーキーさ、モルトやレーズンのような甘さ、潮気と薬品香、スパイシーさを感じ、オイリーな口当たりが特徴です。
ドライめな味わいなので、クセがありつつもサッパリと飲みたい人におすすめです。
読み方の違いで「イーラッハ」とも呼ばれます。度数58%のカスクストレングスタイプも出ていますので、お酒に強い人はこちらも試してみましょう。
アイラストーム
内容量 | 700ml |
度数 | 40% |
おすすめの飲み方 | ストレート ソーダ割り |
「アイラストーム」も同じく蒸溜所名を明かさずに販売されていますが、中身の考察が未だになされているウイスキーです。
スモーキーさ、バニラのような甘さ、シトラスのような爽やかさ、潮気、ヨード香、スパイシーさが楽しめます。
ネーミング的にかなり強めのスモーキーさを想像していましたが、意外にもそこまで強くありませんでした。
若めのカリラなのか?若めの樽違いボウモアなのか?スモーキーなタイプの若めブナハーブンなのか?結構悩みます…。
ラフロイグ セレクト
内容量 | 700ml |
度数 | 40% |
おすすめの飲み方 | ストレート ロック ソーダ割り |
「ラフロイグ セレクト」は、ペドロ・ヒメネスシェリー樽、ヨーロピアンオーク・シェリー樽、バーボン樽で熟成した原酒を、アメリカンオークの新樽で後熟したウイスキーです。
重厚なスモーキーさ、ハチミツのような甘さ、ドライフルーツのような落ち着いたフルーティーさ、穏やかなヨード香が楽しめます。
ライトな口当たりで甘さもあるため、「ラフロイグ 10年」と比べて圧倒的に初心者でも飲みやすい仕上がりです。
ちなみに、以前は「ラフロイグ セレクトカスク」という商品名でした!
ボウモア 12年
内容量 | 700ml |
度数 | 40% |
おすすめの飲み方 | ストレート ロック ソーダ割り |
「ボウモア 12年」は、バーボン樽とスパニッシュオークシェリー樽を使って熟成されたウイスキーです。
上品なスモーキーさ、ハチミツやダークチョコのような甘さ、ドライフルーツやシトラスのようなフルーティーさ、潮気が楽しめます。
アイラモルトのオフィシャルボトルの中では、入門編として初心者にもおすすめできる銘柄です。
ちなみに、お手軽に試したい人は350mlのハーフボトルも販売しています。
アイラモルトのおすすめの飲み方
アイラモルトが持つ独特な風味をしっかりと感じるなら、まずはストレートで飲むのがおすすめです。
ロックにするとスモーキーさが強くなったり、甘さが引き締まったり、渋みが出てきたりと、銘柄によって表情が異なるため、実際に飲んでみて好みを知るほかありません。
水割りはおいしく作るのが難しいというのもありますが、アイラモルトでは真価を発揮しづらい印象も。
ソーダ割りは比較的若めの原酒で、バーボン樽主体に造られる銘柄がよく馴染んでおすすめです。
アイラモルトに関してよくあるQ&A
- アイラモルトに合うおつまみは何がある?
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牡蠣を使った料理や、オイルサーディン等の海鮮系は鉄板です。
いぶりがっこなど、スモーキー+スモーキーで行くのもよいでしょう。
ポチップ - アイラモルトをプレゼントしようと思うけど、注意点は?
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もしも相手が「スモーキーなウイスキーが好き」と言っていた場合、実際はどのくらいのスモーキーさを想像しているのか、必ず確認しましょう。
普段よく飲んでいる銘柄を訪ねてみるのもよいでしょう。
- 「スモーキー」と「ピーティー」って何が違うの?
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「ピーティ」は、ピートによって付く香り全般のことを指します。
「スモーキー」はあくまでピート香の一部分であり、ヨード剤のような薬品香である「ヨーディ」とともに、「ピーティー」の中に含まれる香りの表現です。
安くておいしいアイラモルトについてのまとめ
この記事で特に覚えておきたいことを、以下にまとめました。
- アイラモルト(アイラウイスキー)は、スコットランド西部に位置する「アイラ島」で造られるウイスキー
- 力強いスモーキーさと潮気のある風味、薬品香が特徴
- 独特な風味は、ピート(泥炭)が生み出している
- クセが強くて好き嫌いが分かれるため、まずはスモーキーさの穏やかな銘柄から試すのが吉
- 銘柄ごとの強烈な個性を感じるためにも、どの銘柄も可能ならストレートで一度飲んでおきたい
アイラモルトを好きな人は、本当に沼にハマります。
しかしどのウイスキーも値上がりの今、なかなか安価で手に入るアイラモルトがありません。
そんなときは、ぜひ今回ご紹介したウイスキーを検討してみてはいかがでしょうか。
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