ラフロイグはどんなブランド?特徴・種類・飲み方・評価をプロが解説
バーテンダー/ブロガーのいのかず(@InoKazuBlog)です。いつもご覧いただきありがとうございます!
アイラモルトのブランドの1つとして、数あるスコッチウイスキーの中でも、特にクセが強いことで知られるラフロイグ。
まだ飲んだことのない(飲んだ回数が少ない)人にとって、どのようなブランドなのか、気になりますよね。
今回の記事では、ラフロイグというブランドについて、バーテンダーである筆者が詳しく解説していきます。
どんなウイスキーかわからず、飲めるのかどうか不安な人や、より自分に合った銘柄を見つけたい人は、ぜひ最後までご覧ください。
ラフロイグはどのようなウイスキーか
ラフロイグは、スコットランドの南西部にあるアイラ島で造られる、シングルモルトウイスキー(アイラモルト)です。
現在、アイラ島には9つの蒸溜所があり、ラフロイグはその中の1つである、「ラフロイグ蒸溜所」で造られています。
「アイラモルトの王」とも呼ばれ、好きになるか嫌いになるか、好みがハッキリ過ぎるくらいに分かれるのも特徴です。
さて、そんなラフロイグですが、どのような歴史を歩み、どのように造られているのか、さらに詳しく見ていきましょう。
ちなみにラフロイグという言葉は、ゲール語で“広い入り江の美しい窪地”という意味があります!
ラフロイグの歴史
元農民であるジョンストン兄弟によって、ラフロイグ蒸溜所が設立。
今までは家族経営だったが、ブランドをより成長させるため、蒸溜所をシーガー・エヴァンス社に売却。
チャールズ皇太子が蒸溜所を訪問し、シングルモルトウイスキーとしては初となる、王室御用達許可証(ロイヤルワラント)を賜る。
蒸溜所がジムビームの傘下になる。
ビーム社がサントリーの傘下になったことで、ラフロイグの販売元もサントリーになる。
ラフロイグの製法
ラフロイグ蒸溜所は、85%の製麦をポートエレン蒸溜所に委託し、残り15%の製麦を、自社でフロアモルティング(職人が手作業で製麦する伝統的な方法)しているのが特徴です。
麦芽を乾燥させる際には、湿った状態のままの麦芽にピートの煙を吸わせることで、よりスモーキーに。
長年の経験によって培われた蒸溜法により、ドライでハーバル、かつスモーキーな風味を残したままのスピリッツが生まれます。
熟成に使われる樽は、主にバーボン樽です。
熟成期間にも樽が潮風を浴びるため、潮気のある風味がさらに加わっていきます。
ラフロイグの味わいの特徴
ラフロイグの味わいの特徴は、なんと言っても、力強いスモーキーさと独特の薬品香です。
同じアイラ島で造られる他のウイスキーと比べても、ラフロイグのスモーキーさは上位に食い込みます。
- ボウモア:約25ppm
- カリラ:約30ppm
- ラガヴーリン:約35ppm
- ラフロイグ:約45ppm
- キルホーマン:約50ppm
- アードベッグ:約55ppm
ちなみに、一般的なスコッチのフェノール値は約5〜10ppm程度です。
よく「正露丸の香り」と例えられますが、確かにそれによく似た薬品香を持っています。
ほのかに甘さがありますが、クセが非常に強いため、初心者が飲むときは注意しましょう。
ラフロイグの種類(ラインナップ)
一応、長熟の「ラフロイグ 25年 カスクストレングス」や、ポートワイン樽熟成で限定の「ラフロイグ ブローディア」など、普通にはもう手に入らない(あってもプレ値で買えない)銘柄は、今回省かせていただきました。
ラフロイグ 10年
ラフロイグが販売する銘柄の中でも、最も象徴的なのがこの「ラフロイグ 10年」です。
1番の特徴である、力強いスモーキーフレーバーはもちろん、正露丸のような薬品香、潮気、モルトやバニラのような甘さが楽しめます。
ややオイリーな口当たりで、長く残る余韻は、初めて飲む人にとって忘れられない体験となるでしょう。
海外の公式サイトによれば、ボトルデザインがこれから新しくなるそうです。以前は4,000円程度で買えたのですが、度重なる値上げにより、かなり高価になりました…。
ラフロイグ セレクト
「ラフロイグ セレクト」は、極甘口のシェリー酒「ペドロ・ヒメネス」の樽、辛口のシェリー酒「オロロソ」の樽、1stフィル(初めて使われる)バーボン樽でそれぞれ熟成した原酒をブレンドした後、アメリカンオークの新樽で後熟して造られるのが特徴です。
代表銘柄の10年と比べると、やや若さを感じる味わいで、深みに欠ける印象でした。
ただし、その分飲みやすさはありますし、価格帯も少し低めですから、お試しに買ってみるのもアリではないでしょうか。
こちらも海外の公式サイトによると、名称を新しく「ラフロイグ オークセレクト」としたそうです。まだ日本には入ってきていませんが、そろそろ入ってくるでしょう。
ラフロイグ 10年 シェリーオークフィニッシュ
通常の10年がバーボン樽のみで熟成されるところ、この「ラフロイグ 10年 シェリーオークフィニッシュ」は、辛口のシェリー酒「オロロソ」の樽を使って後熟して造られるのが特徴です。
ラフロイグのベーシックな風味に加え、深みのある甘さ、芳ばしさが感じられます。
日本には並行輸入でしか入ってこず、ほとんどネットでしか出回っていません。
度数も48%と高めで、飲みごたえもあってけっこう好きですが、普通の10年と比べて高価格です。
ラフロイグ クォーターカスク
「ラフロイグ クォーターカスク」は、バーボン樽で熟成した原酒を、クォーターカスク(1/4サイズの樽)で後熟して造られるのが特徴です。
通常の10年と比べ、少しスモーキーさは抑えめながらも、複雑な風味が楽しめます。
度数が48%と少し高めですが、なぜかボディが弱く、ソーダ割りや水割りにすると少しペラく感じるかもしれません。
正規品は終売となってしまいましたが、並行輸入品はまだ普通に手に入ります。
ラフロイグ フォー オーク
「ラフロイグ フォー オーク」はその名のとおり、バーボン樽・クォーターカスク・アメリカンオークの新樽・ヨーロピアンオークのホグスヘッド樽(ずんぐりした形に組み直した樽)の、4種類の樽を使って造られるのが特徴です。
樽免税店向けに造られているため、市場ではそこまで見かけません。
通常の10年と比べると、なめらかな口当たりと複雑な風味が楽しめます。
スモーキーさは少し控えめで、全体的に優しい印象でした。
ラフロイグ PXカスク
「ラフロイグ PXカスク」は、1stフィルのバーボン(メーカーズマーク)樽、クォーターカスクで熟成した後、PXカスク(ペドロ・ヒメネス樽)で後熟して造られるのが特徴です。
こちらも免税店向け商品で、ほとんどネットでしか見かけません。
通常の10年と比べ、少しスモーキーさとボディの強さは抑えめで、リッチで落ち着いた深い甘さが楽しめます。
通常の10年も好きですが、個人的にはこの銘柄もけっこう好きです!
ラフロイグ 1815 レガシーエディション
「ラフロイグ 1815 レガシーエディション」は免税店向けの商品で、1stフィルバーボン樽とヨーロピアンオークホグスヘッドの新樽で熟成して造るのが特徴です。
上品なスモーキーさ、ドライフルーツのような甘さ、優しいスパイシーさ、ウッディで芳ばしい風味が楽しめるでしょう。
通常の10年と比べ、濃厚でしっかりとボディがあり、バランスよく仕上がっています。
原酒の熟成年数は不明ですが、けっこう熟成感がありました。今回ご紹介する銘柄の中だと、1番おいしかったかな?
ラフロイグ ロア
「ラフロイグ ロア」は、7年から21年熟成させた原酒を使用し、複数種の樽で熟成させて造るのが特徴です。
しっかりとしたピート、潮気、ほのかにドライフルーツやダークチョコのような甘さ、シトラスやハーブのような爽やかさ、深みのあるウッディさが楽しめます。
通常の10年と比べ、複雑ながらも、リッチでバランスの取れた味わいです。
ちなみに、ロア(LORE)は伝承という意味があります!プレゼント用にも最適!
ラフロイグのおすすめの飲み方
まずは、代表銘柄である「ラフロイグ 10年」から飲み始めてみましょう。
10年熟成で比較的短熟とはいえ、アルコール刺激はそこまで強く感じませんので、ストレートから飲むのがおすすめです。
独特の風味をダイレクトに感じたあとは、少量の加水をすることで、甘さやスモーキーさの変化が楽しめます。
その後は、ロックやソーダ割り、カクテルなど、お好みの飲み方を試してみましょう。
個人的には、ソーダ割りや水割りにすると少々ボディが弱いかなと感じますが、カクテルには非常によく馴染みます!
ラフロイグのSNS上の評価
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ラフロイグ好きが次に飲みたいウイスキー
同じくアイラモルトであり、アードベッグよりもスモーキーさの強い「アードベッグ 10年(TEN)」や「キルホーマン マキヤーベイ」辺りは、当然おすすめです。
しかし、今回はド定番のものではなく、ボトラーズブランドの銘柄を紹介します。
どれも質の高いものばかりですので、ラフロイグと同系統の味わいを求めている人は、ぜひ参考にしてみてください。
アイリーク(イーラッハ)
「アイリーク(イーラッハ)」は、蒸溜所名を明かさずに販売されているウイスキーです。
アイラモルトであることはわかっており、中身はラガヴーリンやラフロイグなのではないか?と噂されています。
フレッシュでパワフルなスモーキーさ、潮気と薬品香、ほのかな甘さ、スパイシーさを感じ、オイリーな口当たりが特徴です。
比較的ドライでサッパリめ!ラフロイグのどの銘柄よりも低価格で買いやすく、ソーダ割りやロックで飲む人におすすめ!
ビッグピート
「ビッグピート」は、複数のアイラモルト(主にアードベッグ・カリラ・ボウモア・ポートエレン)をブレンドした、ブレンデッドモルトという種類のウイスキーです。
ピート・スモーキーさは強烈で、シトラスのような爽やかさ、モルトやバニラのような甘さも感じます。
ノンエイジ(年数表記なし)でありながら、アルコール刺激は感じず、純粋に力強い味わいを楽しめるでしょう。
ボトルの見た目通り、クセはけっこう強め!どの飲み方にもよく合います!
スカラバス
「スカラバス」は、先ほどご紹介した「アイリーク(イーラッハ)」と同様に、アイラモルトとわかりながらも、蒸溜所名が公表されていないウイスキーです。
ちなみに、中身はカリラではないか?と噂されています。
オイリーな口当たりで、バランスの良いスモーキーさ、バニラのような甘さ、潮気、シトラスの爽やかさ、ほのかなフローラルさが楽しめるでしょう。
ラフロイグよりもスモーキーさは弱めですが、バランスがよく飲みやすいですね!
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