
バーテンダー兼ブロガーの「いのかず(@InoKazuBlog)」です。
今回の記事では、スコッチウイスキーのアイラモルト「ラフロイグ 10年(正規品)」について、「ラフロイグ 10年(並行品)」との違いを含めながら、レビュー・評価をしていきます。
ウイスキーを買うときになるべく失敗したくない!という人は、ぜひ最後までご覧ください。


- クセになる薬品香・力強いスモーキーさ
- 潮気もあり、アイラモルトの良さをしっかり感じられる
- 度数の低い並行輸入品よりも味わい深い
- 価格高騰でコスパが悪くなった
- クセがかなり強いので、初心者は注意が必要




ラフロイグ 10年(正規品)


原産国 | スコットランド |
分類 | シングルモルト (アイラ) |
容量 | 700ml |
度数 | 43% |
熟成樽 | 1stフィルバーボン樽 |
「ラフロイグ 10年」は「アイラモルトの王」と呼ばれ、シングルモルトで初の英国のロイヤルワラント(王室御用達)をいただいたウイスキーです。
そのクセの強さから「好きになるか、嫌いになるかのどちらか。」というキャッチコピーが作られ、好きになる人はとことんハマるけれど、嫌いな人はまったく受け付けないというパンチの効いた味わいがあります。
スモーキーフレーバーが特徴の「アイラモルト」の中でも、ラフロイグは特にクセの強い部類です。



アイラモルトは何なのか、他のウイスキーと比べてどのくらいスモーキーなのか、詳しく解説していきます!
アイラモルトについての紹介とスモーキーさの比較
アイラモルトは、スコットランドの中にある「アイラ島」という小さな島で造られるシングルモルトウイスキーのことを指します。
このアイラ島で造られるほとんどのウイスキーは、強いスモーキーフレーバーがあるのが特徴です。



中にはまったくスモーキーさのないウイスキーもありますが、ほぼクセの強いウイスキーばかり!
そもそもウイスキーのスモーキーさは、原料となるモルトをつくる製造段階において「ピート(泥炭)」をどれだけ強く焚いたのか、その後の製造段階でどれだけスモーキーさを損なわずに生かすのかによって決まります。
大まかなスモーキーさを測る数値として用いられる「フェノール値」というものがあり、これはピートを焚いたときに「モルトに移る芳香化合物の濃度」のことです。
このフェノール値が高いウイスキーの方が、比較的スモーキーさが強いウイスキーとなっています。



厳密に言えば「フェノール値が高い=よりスモーキー」ではありませんが、大まかにこのような認識でよいでしょう。
以下の表で、アイラモルトの代表的な銘柄ごとのフェノール値を、”スモーキーではないアイラモルトを除いたうえで”ご紹介します。
ウイスキー名 | フェノール値 |
アードベッグ 10年 | 約55ppm |
キルホーマン マキヤーベイ | 約50ppm |
ラフロイグ 10年 | 約45ppm |
ラガヴーリン 16年 | 約35ppm |
カリラ 12年 | 約30ppm |
ボウモア 12年 | 約25ppm |
上記の表を見ると、「ラフロイグ 10年」は比較的スモーキーさの強い部類に入っていることがわかります。



先ほども説明したとおり、厳密に言うとフェノール値だけでスモーキーさが測れるわけではありませんが、実際に飲んでもスモーキーさは表のとおりの順番かなと思いました!
正規品と並行輸入品の違い
実は今回ご紹介する「ラフロイグ 10年」ですが、実は2種類のボトルがあるのをご存知でしょうか?
- 正規品:容量750ml・度数43%
- 並行品:容量700ml・度数40%
正規品は、日本の正規代理店が海外のメーカーと直接契約して輸入されたもので、並行輸入品は、輸入メーカーが海外の蒸溜所から買い付けて輸入したものです。
それぞれの特徴をかんたんにまとめました。
今回の「ラフロイグ 10年」に関してどちらをおすすめするかと言われたら、間違いなく正規品がおすすめです。
価格がほとんど変わらないにもかかわらず、容量が多くて度数も高いなら、並行品を買う選択肢はありません。



「度数が高いのはちょっと…」という人もいるかもしれませんが、43%を40%に薄めることはできても、40%のものを43%に濃くすることはできません!度数は加水で調節できるので、迷わず正規品を買いましょう。


ラフロイグ 10年の評価・レビュー


バーテンダーである筆者が「ラフロイグ 10年」を実際に飲んだときの評価・レビューをします。



どんな味わいか・どんな飲み方がおすすめなのか・どこがおすすめのウイスキーなのかを詳しくご紹介!
テイスティングレビュー
※数値が高い=良いウイスキーではありません
- 香り
-
力強いスモーク、薬品香、潮気、革製品のようなクセがあり、ほんのりバニラ系の甘い香りも漂います。
- 味わい
-
厚みがあって豊かな味わいです。荒々しさの中に、柑橘の爽やかさ、オークの風味、甘草、オイリーさ、麦の甘みも感じます。とはいえそこまで酒質は重くなく、意外と飲みやすさもあります。
- 余韻
-
長く続き、スモークと一緒にビターでスパイシーなニュアンスも感じます。
「ラフロイグ 10年」は、力強いスモーキーさと海風を感じる潮気のある味わい、正露丸のようなヨード系の薬品香が特徴的です。
フェノール値(ざっくり言うとスモーキーさ)は約45ppmと、クセの強いウイスキーがひしめくアイラモルトの中でも、しっかりと存在感を放っています。



スモーキーさに感覚を持っていかれがちですが、意外と甘さもあります!味わいは濃厚ですが、飲み口は意外にも軽さがあるため、比較的飲みやすいです。
飲み方別の評価


ラフロイグの強い個性をダイレクトに味わえるので、まずはストレートで飲んでみましょう。10年熟成という割りと若めのウイスキーながらも、ゆっくりと楽しめます。
おすすめ度 5


加水してもボディがなくならず、風味が開いて美味しいものの、加水は少なめがおすすめです。潮気とバニラのような甘さがしっかりと感じられます。
おすすめ度 3


スモーキーさが引き立ち、口の中で液体が温まると甘みもしっかり感じられます。オーク香とスパイシーさも、他の飲み方と比べると出てきました。
おすすめ度 4


美味しいのですが、味わいのバランスを良く作るにはそこそこ技術が必要な感じがします。意外と軽くなりすぎるので、ほんの少し濃い目に作るのがおすすめです。
おすすめ度 2


ソーダの発泡性に負けないスモーキーさ・潮気があり、個性が失われません。スッキリとした飲み口で、ほんのりバニラのような甘みも感じます。
おすすめ度 4
総合評価 3.5
ラフロイグ 10年は、しっかりとした個性とクセの強さはありつつも嫌味がなく、格式の高さを感じます。
ただスモーキーなだけではなく、複雑な味わいが楽しめるのも高評価です。
しかも意外とどの飲み方でも美味しく飲めるので、家飲み用としてもパフォーマンスを発揮してくれます。
10年熟成の割りには若干価格が高いものの、750mlでこの味わいなら納得です。



とても有名で王道な銘柄なので、これからウイスキーを飲んでいくなら必ずおさえておきたい銘柄の1つです。


ラフロイグ 10年の評価まとめ
今回は、シングルモルトスコッチウイスキーのアイラモルト「ラフロイグ 10年」についてご紹介しました。
- 力強いスモーキーさと正露丸のような香り
- 「アイラモルトの王」と呼ばれ、英国王室御用達のブランド
- 並行品(700ml・40%)よりも正規品(750ml・43%)がおすすめ
クセが強いので初心者からするととっつきにくい印象ですが、とても有名な銘柄なので、ぜひとも一度飲んでもらいたいです。
もし「軽めのスモーキーさから試したい」という人は、比較的優しめの「ボウモア 12年」から試してみるのもよいでしょう。



ボウモアのレビューはこちらから見られます!
よりラフロイグの味わいをしっかり感じたいなら正規品、サラッとライトに飲みたいなら並行輸入品を選ぶのがよいでしょう。




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