スコッチウイスキーとは?味の特徴や定義・分類まで徹底解説!
個人的に、全ウイスキーの中でもスコッチがもっとも、ハマったら抜け出せない魅力のあるウイスキーだと思っているいのかず(@InoKazuBlog)です。
「スコッチウイスキーって他の国のウイスキーとどう違うの?」
「どんな味わいがするの?おすすめの銘柄はどんなの?」
よく「スコッチ」という名前は耳にしても、まだウイスキーを飲み始めて間もない頃は、それが何なのかよくわかりませんよね。
そこで今回の記事では、以下についてご紹介します。
- スコッチウイスキーがどんなウイスキーなのか
- スコッチウイスキーの生産地について
- バーテンダーが厳選したおすすめの銘柄
この記事を読めば、スコッチウイスキーのことがよくわかり、ウイスキーを飲むのがより一層楽しくなります!
これからウイスキーを飲むなら知っておくと便利な知識なので、ぜひ最後まで読んでください!
スコッチウイスキーってどんなウイスキー?
スコッチウイスキー(Scotch Whisky)は、イギリスのスコットランドで生産されるウイスキーです。
アイリッシュ・アメリカン・ジャパニーズ・カナディアンウイスキーと並んで「世界五大ウイスキー」の1つに数えられます。
流通・生産量、人気、質の高さなど、あらゆる面で世界トップクラスを誇り、ファンの多さは数知れません。
そんなスコッチウイスキーについて詳しく解説していきます!
横文字系の言葉が多く、難しいと感じる部分があるかもしれませんが、知っておいて損のない知識です。
スコッチウイスキーの定義
スコットランドで造られただけでは「スコッチウイスキー」を名乗れません。
法律・規則で定められた基準をクリアし、初めてスコッチウイスキーとして認められます。
- スコットランド国内の蒸溜所で造られている
- 原料は水・酵母・穀物とする
- アルコール度数94.8%未満で蒸溜
- スコットランド国内の定められた倉庫にて、700L以下のオーク樽で3年以上熟成
- 水・無味のカラメル着色料以外の物質が添加されていない
- ボトリング時にアルコール度数40%以上
こう見ると、無味とはいえど、意外にもカラメル着色料はOKなんだって思っちゃいます。
スコッチウイスキーの分類
ウイスキーは、まず2種類のベースとなるウイスキー分類があります。
- モルトウイスキー
大麦麦芽を原料とし、単式蒸溜器(ポットスチル)で蒸溜 - グレーンウイスキー
主にはトウモロコシなどの穀物を原料とし、連続式蒸溜器で蒸溜
これら2種類のベースとなるウイスキーから、多くの種類に派生していきます。
- シングルモルトウイスキー
単一蒸溜所内のモルトウイスキーのみで造られたウイスキー - ブレンデッドモルトウイスキー
異なる蒸溜所から、2つ以上のシングルモルトをブレンドしたウイスキー - シングルグレーンウイスキー
グレーンウイスキーのみで造られたウイスキー - ブレンデッドグレーンウイスキー
異なる蒸溜所から、2つ以上のシングルグレーンをブレンドしたウイスキー - ブレンデッドウイスキー
モルトとグレーンをブレンドしたウイスキー
ちなみに、ブレンデッドグレーンはほぼ存在しません。
シングルグレーンに関しては少しややこしく、原料がモルトのみでも連続式蒸溜器を使ってしまえば、分類上はシングルグレーンです。
ちなみに、このややこしい分類と名称を持つウイスキーをリンクでご紹介しておきます。
スコッチウイスキーの歴史
スコッチウイスキーはウイスキーの元祖?
ウイスキーの元祖はスコッチウイスキーだという説がありますが、現在でもアイリッシュウイスキーとどっちが先に造られたか論争になっており、未だに明確になっていません。
ウイスキー造りに関しては、修道院で薬草酒として造られた「アクアヴィテ(生命の水)」がもととなっており、これをゲール語で訳した「ウシュクベーハ」から派生して「ウイスキー」という言葉が生まれました。
ウイスキー密造時代
17世紀半ば、民間でもよく造られるようになったウイスキーに対して課税が始まりました。
18世紀初頭にはだんだんと増税されていき、税を逃れるためにウイスキーの密造が始まります。
密造酒が増えすぎたため、スコットランド政府は19世紀初頭に酒税改定をし、グレンリベット蒸溜所を始めとする政府公認の蒸溜所が設立されていきました。
100年余り続いたこのウイスキー密造時代において、スコットランドで消費されたウイスキーの約半分が密造酒だったと言われています。
連続式蒸溜器の発明とブレンデッドウイスキーの誕生
19世紀には連続式蒸溜機が開発され、ウイスキーの大量生産が可能になりました。
連続式蒸溜器はスコットランドの南部に位置するローランド地方で広く導入され、トウモロコシなどの安価な穀物を原料とする「グレーンウイスキー」が生み出されます。
異なるウイスキーを混ぜてはいけないという法律が改正されたのもこの時期で、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜた「ブレンデッドウイスキー」が誕生しました。
均一な味わいを安価で造れるようになったため、ブレンデッドスコッチウイスキーは世界的に有名になっていきます。
シングルモルトの盛衰
19世紀後半、ヨーロッパではブドウの葉が虫害によって大きな被害を受け、ワイン・ブランデーの生産が不可能となりました。
その間にスコッチウイスキーは世界的に流通し、市場の確立に成功します。
しかし20世紀初頭には2度に渡る世界大戦、世界恐慌、アメリカでの禁酒法など、ウイスキー市場は衰退していきました。
戦後には輸出量が増え、またシングルモルトが人気となり、現在のウイスキー人気の立役者となります。
スコッチウイスキー(主にモルトウイスキー)の製造方法
まずは大麦の種子に水を吸わせて発芽させ、その後、乾燥させることにより発芽を止める。
スコッチでは乾燥の工程でピートを使い、独特のスモーキーフレーバーを付ける。
麦芽を粉砕して糖化槽(マッシュタン)でお湯と混ぜることにより、糖液(ウォート)を抽出し、糖化する。
ウォートに酵母を加え、アルコールとガスに分解し、発酵させ、もろみ(ウォッシュ)を作る。
ウォッシュをポットスチルで蒸溜し、アルコール度数約70%の蒸溜液(ニューメイクスピリッツ)を得る。
蒸溜されたニューメイクスピリッツを、アルコール度数約65%になるように水で薄めた後、樽で熟成する。
熟成後の工程は銘柄によって分かれる。
- アルコール度数約40%になるよう加水する。
(加水せず、そのままの度数でボトリングするものをカスクストレングスという) - 他の樽でさらに熟成(フィニッシュ)させた後、ボトリングまでの工程を経る。
- 味を安定させるため、同一蒸溜所内の他の樽のモルトウイスキーをヴァッティング(ブレンド)する。
(ヴァッティングせず、1つの樽の原酒のみをボトリングしたものをシングルカスクという) - 異物を取り除くために冷却濾過(チル・フィルタレーション)をする。
(冷却濾過をしないものをノン・チルフィルタードという)
チル・フィルタードのウイスキーは、ノン・チルフィルタードと比べて味が落ちると言われています。
しかし味覚は人それぞれなため、本当に味わいが明確に落ちているのかはまだわかっていません。
シングルモルトスコッチウイスキーの6つの生産地
シングルモルトスコッチウイスキーは、大きく分けて6つの生産地があります。
上の画像に記載されている6つの生産地について、それぞれの違いや特徴を解説していきます。
Highland(ハイランド)
広い土地なので、細かく分類すると東西南北に分けられます。(西ハイランド、北ハイランドなど)
土地が広い分、味わいにもばらつきがありますが、傾向としてはまろやかで穏やかめの味わいのものが多いです。
Speyside(スペイサイド)
初心者でも比較的飲みやすい、フローラルで華やかな味わいが特徴です。
銘柄によっては、ハイランドと区別をせず「HIGHLAND MALT」と記載されるウイスキーもあります。
Lowland(ローランド)
クセの強いイメージのあるシングルモルトスコッチの中でも、比較的穏やかでライトな味わいが特徴です。
Islay(アイラ)
アイラ島のシングルモルトは、どの銘柄もかなりスモーキーでクセが強い傾向にあります。
好き嫌いがハッキリと分かれるジャンルです。
Islands(アイランズ)
アイラ島を除いた島々のことで、各島によって味わいの特徴が異なります。
蒸溜所が沿岸部に位置しているため、潮っぽい味わいのウイスキーが多いです。
Campbeltown(キャンベルタウン)
スコットランド南西部に位置する半島にある、キャンベルタウンという町で造られるシングルモルトです。
しっかりした味わいと独特の潮気があります。
希少なウイスキーが多く、価格が高騰気味です。
初心者におすすめ!一度は必ず飲んでおきたいスコッチウイスキー9選
スコッチウイスキーはかなり多くの銘柄がありますが、今回はその中でも、初心者が「まずこれだけは飲んでおきたい!」というおすすめの銘柄を9つご紹介します。
ザ・グレンリベット12年
Glenlivetは「静かな谷」の意。
ザ・グレンリベット 12年は、フルーティーでバランスの取れた味わいのウイスキーです。
クラシックかつ洗練された味わいで、多くのウイスキーラバーから長きに渡って愛されています。
クセがないため、シングルモルト初心者でも飲みやすいでしょう。
とても有名な銘柄なので、これからウイスキーを飲んでいくなら必ず飲んでおきたいウイスキーです!
グレンフィディック 12年
グレンフィディック 12年は、フルーティーかつ軽めで飲みやすいウイスキーです。
お手軽な価格、誰が飲んでも美味しい味わい、安定した流通量、どの飲み方にでも合う汎用性など、平均値が高くなっています。
突き抜けた個性や特徴はありませんが、ネガティブな要素が感じられない万能選手です。
僕がまだウイスキー初心者だった頃、フィディックを飲んで初めてウイスキーを「美味しい」と感じたのを覚えています。
ザ・マッカラン ダブルカスク 12年
ザ・マッカラン ダブルカスク 12年は、マッカラン蒸溜所が2017年にリリースした次世代のスタンダードモデルのウイスキーです。
以前はザ・マッカラン シェリーオーク 12年がスタンダードでしたが、シェリー樽原酒が品薄になり、価格が高騰したため、こちらのダブルカスクを紹介しました。
とても品が良く、ふくよかな甘みがあってバランスの取れた味わいです。
スタンダード商品と言っても少し高めの価格設定ですが、甘くて華やかな味わいは、初心者にこそぜひ一度飲んでもらいたいです。
グレンモーレンジィ オリジナル
特別に発注したデザイナーズカスクで樽熟成される。
グレンモーレンジィオリジナルは、爽やかな柑橘系の香りが特徴のウイスキーです。
特におすすめな飲み方は、オレンジピールを絞り入れた「オレンジハイボール」で、メーカーも公式で推しています。
食中酒としても楽しめるため、家に置いておいても重宝するでしょう。
完璧なバランスで、実際はどの飲み方で飲んでも美味しいです!
ボトルデザインも◎
ラフロイグ 10年
英国王室御用達のブランド。
ラフロイグ 10年は、ヨードチンキや正露丸のような薬品香と強いスモーキーさが特徴です。
よく「好きになるか、嫌いになるか」のどちらかしかないと言われます。
初心者にいきなりおすすめはしづらい銘柄ですが、このクセに一度ハマってしまうと、なかなか抜け出せない魅力があるのも事実です。
ラフロイグ 10年には、正規品(750ml・43%)と並行輸入品(700ml・40%)の2種類がありますが、おすすめなのは断然正規品です。
理由としては、薄めて度数を低くするのは簡単にできますが、上げることはできないこと、容量が多くて価格的にもお得なことの2点が挙げられます。
ボウモア 12年
ボウモア 12年は「アイラの女王」とも呼ばれ、上品なスモーキーさと深い味わいが特徴です。
力強さと繊細さの両方を持ち合わせ、個性的ながらもバランスが取れています。
クセの強いアイラモルトの入門編としてもぴったりです!
シーバスリーガル 12年
シーバスリーガル 12年は、甘くてまろやか、クセのない味わいのブレンデッドウイスキーです。
アルコールのアタックを感じないため、初心者にもおすすめできます。
これ以上にないくらいなめらかで、「ウイスキーの独特のクセや渋みが苦手…」という人は、まずはこれを飲んでみましょう!
イメージが変わるはずです。
バランタイン 12年
バランタイン 12年は、ブレンデッドスコッチの中でもかなりバランスの取れたウイスキーです。
価格以上の味わいがあり、非常にコスパが優れています。
どんな飲み方でも美味しく飲めるので、自宅でいろんな飲み方を試したい人にはうってつけです。
甘めでクセがないため、初心者にもおすすめできます。
ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年
ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年は、ウイスキーファンから「ジョニ黒」の愛称で長年親しまれています。
パンチがありつつも、まとまりのあるスモーキーな味わいが特徴です。
とてもまとまりのある味わいでバランスが良く、質の高さが伺えます。
僕は初めて飲んだときにはあまり美味しく感じませんでしたが、舌が肥えてきて、今あらためて飲むと本当によくできたウイスキーだと感じています。
個人的な評価はかなり高めです。
まとめ:スコッチは全世界が認める最高のウイスキー!
スコッチウイスキーは味わいの素晴らしさだけではなく、歴史の深さ、造り手の技術とこだわりなど、焦点を当てる部分がたくさんあります。
ただウイスキーを飲むだけではなく、バックグラウンドを知りながら飲むと、より一層楽しみながら飲めるようになるでしょう。
- 法律で定められた基準をクリアしないとスコッチウイスキーを名乗れない
- スコッチのシングルモルトは6つの生産地に分かれている
- 蒸溜所ごとに各々異なる特徴・味わいがある
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