バーボンとはどんなウイスキー?定義・他との違い・おすすめ銘柄を紹介
この記事では、バーテンダーである筆者が「バーボンウイスキー」についてわかりやすく解説します!
バーボンウイスキーについて理解が深まれば、よりウイスキーがおもしろく感じられるようになること間違いなしです。
バーボンウイスキーとは?
バーボンウイスキー(Bourbon Whiskey)はアメリカンウイスキーの1つで、トウモロコシを主原料、ライ麦・大麦・小麦をその他の原料として造られるウイスキーです。
バーボンウイスキーという名称は、ケンタッキー州バーボン郡で造られたことに由来しています。
「バーボン郡」という土地名は、アメリカの独立時にフランスが援助してくれたことから、当時のルイ王朝のブルボン家(Maison de Bourbon)の名を残すために付けられたと言われているそうです。
さらにバーボンウイスキーを深く知るために、以下について詳しく見ていきましょう!
バーボンウイスキーの定義
「バーボン」と名乗るために必要な基準をご紹介します。
- アメリカ国内(準州・特別区を含む)で造られていること
- 原料の51%以上80%未満がトウモロコシであること
- 焦がした新樽を使って熟成すること
- アルコール度数80%以下で蒸溜すること
- アルコール度数62.5%以下で熟成を始めること
- アルコール度数40%以上で瓶詰めすること
上記の中でも覚えておきたいことを太字にしました!他のウイスキーと明確に違う部分です!
熟成期間に法的な指定はありませんが、4年未満である場合は熟成年数を記載しなければなりません。
バーボンウイスキーのサブカテゴリー
バーボンウイスキーには、以下のサブカテゴリーがあります。
- ストレートバーボン
2年以上熟成させたバーボンが名乗れる。 - クラフトバーボン
原料や製法など、生産者の想いや趣向がハッキリと表れていて、少量生産(スモールバッチ)のウイスキー。 - ボトルド・イン・ボンド
厳密に言えばカテゴリーではないが、熟成が4年以上でアルコール度数50%のもの。かつ1つの蒸溜所で造られていて、1年の中でも1シーズン内で蒸溜されたものを樽熟成させたウイスキー。バーボン以外のアメリカンウイスキーにも存在するカテゴリー。
まだウイスキーを飲み始めたばかりの人はまだ覚える必要なありませんが、今後より一層ウイスキーにハマったとき、必ず聞くカテゴリーです。
バーボンウイスキーの味の特徴
バーボンウイスキーの味わいは、トウモロコシ由来の風味としっかりした樽香、バニラやキャラメルのような甘さが特徴です。
銘柄によっては余韻がスパイシーだったり、ビターだったり、ミントのように爽やかだったりすることもあります。
「バーボンウイスキーはまずい!」という人からすると、セメダインや革製品のような香りがするという意見もありますが、これも銘柄によってです。
一度飲んでみないことにはどんな味なのか理解できないため、まだバーボンウイスキーにチャレンジしたことない人は、この記事を読んだ後に飲んでみましょう。
バーボンウイスキーと他のウイスキーの違い
ここまではバーボンウイスキーの概要について説明してきましたが、他のウイスキーとどう違うのでしょうか?
以下のウイスキーとの違いを解説していきます。
他のアメリカンウイスキーとの違い
違いを説明する前に、バーボンはアメリカンウイスキーというカテゴリーのなかの1つだということをご存知でしたか?
他のアメリカンウイスキーには、以下のものがあります。
- ライウイスキー
原料の51%以上がライ麦。スパイシーな味わいが特徴。 - コーンウイスキー
原料の80%以上がトウモロコシ。ライトで若さのある風味が特徴。 - テネシーウイスキー
テネシー州にて、熟成前にサトウカエデ(メープルの木)の木炭でろ過して造られる。製法自体はバーボンの要件も満たしている。なめらかな口当たりと優しい甘さが特徴。 - モルトウイスキー
原料の51%以上が大麦麦芽。複雑な味わいと香ばしい風味が特徴。 - ウィートウイスキー
原料の51%以上が小麦。優しい甘さが特徴。
バーボンの原料がトウモロコシ51%以上なのに対し、他のアメリカンウイスキーは原料の比率が異なります。
上記のアメリカンウイスキーの中でも特に覚えておきたいのが、「ライウイスキー」と「テネシーウイスキー」です。
有名なウイスキーもたくさんありますので、絶対に今後飲むことになるでしょう!
スコッチウイスキーとの違い
スコットランドで造られるスコッチウイスキーと、アメリカで造られるバーボンウイスキーは、生産国以外にもさまざまな違いがあります。
両者の違いを表にしてまとめました。
バーボン | スコッチ | |||
存在する分類 | クラフトバーボン | ストレートバーボンシングルモルト シングルグレーン ブレンデッドモルト | ブレンデッド||
原料 | 主原料 | トウモロコシ | 大麦麦芽とその他の穀類を使用 | 分類によって異なるが、|
副原料 | 大麦 小麦 | ライ麦|||
蒸溜方法 | 連続式蒸溜器 | 連続式蒸溜器 単式蒸溜器 | ||
熟成樽 | 焦がした新樽 | バーボン樽 シェリー樽 ワイン樽 などさまざまな樽を使用 | ||
熟成期間 | 法律での規定なし | 法律の規定で最低3年 シングルモルトは12年前後が一般的 | ||
味わい | スパイシー | バニラのような甘さ、ウッディ、甘めのものなど、味わいはさまざま | スモーキーなものやフルーティーなもの、
1番大きな違いとしては、多くのスコッチは原料である大麦麦芽(モルト)を生成するときに「ピート(泥炭)」を使う点です。
独特のスモーキーな風味が生まれ、いわゆる”クセ”のある味わいになります。
蒸溜器は、連続式のものだと味わいが優しくライトになるのに対し、スコッチで使われる単式のものは原料の風味がしっかりと残るという特徴があります。
両者の味わいは似ても似つかないくらい違うので、両者で好みはハッキリ分かれるでしょう!
バーボンの飲み方とその味わいについて解説
バーボンをさまざまな飲み方で飲んだときに感じる「味の違い」について解説します。
上記の中でもおすすめを挙げるとするならば、個人的にはストレートとソーダ割りです。
とはいえ、銘柄によっておすすめの飲み方は変わってくるということだけは知っておきましょう。
もしカクテルを作れる道具があるならば、カクテルベースとして使うのもおすすめです!
まずは試して欲しいストレート
ストレートはバーボンに限らず、その銘柄の味わいが1番ハッキリ分かる飲み方です。
バーボンで言えば、甘さ・樽香・余韻のスパイシーさがダイレクトに感じられます。
ちなみに「バーボンはショットグラスで飲む」というのが今までのスタンダードでしたが、これは安いバーボンだとチューリップ型をしたテイスティンググラスだとアルコール感が強く感じられてしまうからでした。
しかし今は高品質で熟成感があり、アルコールのピリピリした感じが抑えられている銘柄もたくさんあります。
そういった銘柄はテイスティンググラスで飲むのもおすすめです。
安い銘柄はショットグラスでクイッと飲むほうが美味しいですし、イメージ的にもカッコいいですよね。僕もそんな感じでグラスの使い分けをしています!
度数の高いバーボンにおすすめのトワイスアップ
トワイスアップは、ウイスキーと水を1:1の割合で混ぜる飲み方です。
「ストレートだとアルコール感が強すぎて飲めない!」という人におすすめ。
アルコールのピリピリした感じがやわらぎ、バーボンの甘みがより感じられるようになります。
テイスティンググラスで飲めば香りもより感じられるようになるため、飲む銘柄の香り・味をわかりやすく捉えたい人はぜひ試してみましょう。
ビターさと樽香が目立つロック
バーボンをロックで飲むと、甘さが引き締まりビターさと樽香が目立つようになります。
これは、氷で液体の温度が下がることで風味が閉じるからです。
一般的には飲む姿が渋くてカッコいいイメージのあるロックですが、味わいも渋めになります。
個人的にはバーボンはロックで飲むよりもストレートで飲んだほうが美味しいと感じるのですが、完全に好みなので自由に試してみましょう。
なお、氷が溶けてきて加水が進むと甘みもだんだん強くなります!時間経過で味わいが変化するのもロックの魅力ですね!
上級者向けの水割り
バーボンの水割りも個人的には好きなのですが、美味しく作るには作り手の技術が必要です。
雑に作ったり技術のない人が作ったりすると、雑味や樽由来のエグミのような風味が出てきてしまいます。
銘柄によっても合う合わないがハッキリ出てしまうため、よっぽど水割りが好きでなければ、積極的にバーボンで水割りを作るのはあまりおすすめしません。
甘みがあるけど爽やかなソーダ割り
バーボンをソーダ割りにすると、バニラのような甘さがありつつも爽やかな味わいに仕上がります。
ラフに飲めますし食事との相性も良く、バーボン初心者にもおすすめです。
ソーダの発泡刺激によって、雑味やエグみも目立ちません。
カクテルベースとしても広く使える
バーボンはベーススピリッツとしてたくさんのカクテルに使われます。
世界でもっとも飲まれているのに日本ではマイナーな「オールドファッションド」や、甘酸っぱい味わいの「ニューヨーク」などが有名です。
カクテルを作るときの道具に関して知りたい人や、シェーカーがなくても家で簡単にカクテルを作りたい人は、以下の記事をご覧ください。
必ず知っておきたい有名なバーボンウイスキー5選
バーボン初心者が知っておくべき&飲んでおくべき有名な銘柄をご紹介します。
もしかしたら、すでに知っている銘柄もあるかもしれませんね!CMをやっているくらい有名な銘柄もあります!
ジムビーム
内容量 | 700ml |
度数 | 40% |
「ジムビーム」は、バーボンの中でも世界No.1売上を誇るウイスキーです。
コンビニやスーパーにも売っているため手に入りやすく、安価で気軽に試せます。
トウモロコシ由来の香ばしい風味、しっかりめのオーク香、バニラの甘みが感じられ、バーボンの中でもスタンダードな味わいです。
ストレートで飲むよりも、ソーダ割りやコーラ割りで飲むのがおすすめ!
メーカーズマーク
内容量 | 700ml |
度数 | 45% |
「メーカーズマーク」は、副原料にライ麦を使用せず、冬小麦を使用することで優しい甘みに仕上がったウイスキーです。
度数が45%とほんの少し高めですが、アルコールのピリピリした感じは価格の割りには比較的感じません。
バニラやハチミツのようなしっかりとした甘さ、オレンジのような爽やかさ、オイリーな口当たりが楽しめます。
ボトル1つ1つに手作業で施される赤い封蝋が、遠くからでも目を惹きますね!こちらもソーダ割りがおすすめ!
フォアローゼズ
内容量 | 700ml |
度数 | 40% |
「フォアローゼズ」は、10種類の異なる原酒を絶妙なバランスでブレンドして造られるウイスキーです。
ハチミツのような甘さ、ほんのり感じるミントのような爽やかさ、明るいニュアンスのフルーティーさ、バラのようなフローラルな風味が楽しめます。
バランスが良くてクセがなく、初心者でも飲みやすいでしょう。
割りとどの飲み方でも美味しく飲めます!
I.W.ハーパー ゴールドメダル
内容量 | 700ml |
度数 | 40% |
「I.W.ハーパー ゴールドメダル」は、まだバーボンの質が今より悪かった時代、さまざまな博覧会で金賞を受賞したことから、ゴールドメダルと呼ばれるようになったそうです。
バニラのような甘さ、爽やかなフルーティーさ、柔らかなオーク香が感じられます。
公式でソーダ割りを推していて実際に美味しく、食事中に飲むのもおすすめです。
個性はやや薄いものの味のバランスが良いため、カクテルベースとして使うのも悪くありません。
ワイルドターキー 8年
内容量 | 700ml |
度数 | 50.5% |
バーボンはノンエイジ(熟成年数表記なし)の銘柄が多いのですが、この「ワイルドターキー 8年」は8年という比較的長熟の部類に入るウイスキーです。
バニラの強い甘み、オレンジやハーブのような爽やかさ、しっかりめのオーク香、スパイシーな余韻が楽しめます。
度数が高いため味わいのインパクトは強めですが、口当たりは意外にも優しめです。
高い度数が苦手な人は、割材の量を調節して度数を下げて飲みましょう!
まとめ
バーボンウイスキーについて「これだけは覚えておきたい!」ということをまとめました。
- アメリカンウイスキーの1つ
- 原料の51%以上80%未満がトウモロコシで造られる
- 焦がした新樽で熟成される
- バニラやキャラメルのような甘さと特有の樽香、スパイシーな余韻が特徴
スコッチなど他の国のウイスキーを飲むと、よりハッキリとバーボンの良さがわかるはずです。
まずはご紹介した銘柄から試してみて、だんだんと好みの味を探していきましょう。
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